日本の食の未来を電気のチカラで支えたい!TEPCOが挑む世界最大の植物工場とは?

2020/12/14

日本の食の未来を電気のチカラで支えたい!TEPCOが挑む世界最大の植物工場とは?

静岡県藤枝市に、LED照明を活用した完全人工光型の植物工場が完成し、2020年7月1日に操業を開始しました。東京電力エナジーパートナー株式会社は、芙蓉総合リース株式会社、株式会社ファームシップとともに「彩菜生活合同会社」を設立し、この新たな挑戦に取り組んできました。TEPCOがなぜ野菜栽培事業に乗り出したのか、その経緯を担当する社員に聞きました。

彩菜生活合同会社
藤枝工場長

柳田 淳子

東京電力エナジーパートナー株式会社でCS推進室、カスタマーセンター、法人営業、補償相談室などを経て、本プロジェクトの工場長に就任。

柳田 淳子

東京電力エナジーパートナー株式会社
経営戦略本部 経営企画室 経営基盤構築グループ
兼 販売本部 法人営業部

宇都宮 秀行

1999年入社。マーケティングや、エネルギーサービス事業に長年従事。本プロジェクトでは事業スキーム確立やファイナンスを担当。

宇都宮 秀行

東京電力エナジーパートナー株式会社
販売本部 法人営業部 産業事業ユニット

井田 健介

2010年入社以降、現在に至るまで法人営業を担当している、本プロジェクト立ち上げの当事者の一人。学生時代にアメリカンフットボールで鍛えた精神力をもって、本プロジェクトを推進。

井田 健介

安全で安定生産が見込める工場野菜への挑戦

柳田「当工場は、閉鎖された建物内で葉物野菜を栽培し、コンビニやレストランで提供されるサラダなどの材料として出荷しています。完全人工光型の単独の植物工場としては世界最大となる、1日あたり約5トンの生産能力を誇ります。2020年7月に操業を開始してから、まずはリーフレタスの栽培に取り組んでいるところです。

栽培される野菜は、安全で、安定した生産ができるのが特徴です。野菜の成長に必要な要素となる光・水・CO2、肥料、そして温湿度を全て人工的に管理して育てているため、天候に左右されず、計画的且つ、高速生産が可能です。外部環境の影響を受けにくい衛生環境下で育てられることから、虫や異物混入リスクが極めて低いだけでなく、露地栽培の野菜よりも菌数が少ないことから長持ちするのも特徴として挙げられます。また、縦方向に栽培設備を積み上げる多段式が可能なため、単位面積当たりの収量が高まり、生産性が向上する点もメリットの一つです」

井田「水耕栽培をするにあたり循環システムを採用していることから、水資源の削減にも繋がっており環境にも配慮されています。また、空き倉庫を活用しコストを削減したことも大きな特徴です」

エネルギーを「食料」というかたちでお届けする

井田「一見、TEPCOと親和性のない事業に思えるかもしれませんが、植物工場というのは照明と空調が重要で、それは電気の塊なのです。事業を立ち上げようと思ったきっかけも、エネルギーサービス事業(電気やガスをお客さまの施設内で必要とされるエネルギーに変換し提供するサービス)を展開する中で、食品関係のお客さまから『天候不良や虫混入などのリスクがない、安定調達できる野菜を求めている』という強いニーズを感じていたことが原点にあります」

宇都宮「もっと大きな視点で言えば、日本が抱える食料問題を解決する一つの手段になるのではないかという思いもありました。異常気象による農業への被害、農業従事者の減少・高齢化、食料輸入のリスクも問題視される今、日本に必要なのは国内生産による安定した食料供給です」

井田「電気やガスにとどまらず、お客さまが必要とされる形のエネルギーをお届けするのが私たちの仕事です。今回のプロジェクトは、人が生きていく上で必要不可欠な『食』を通じ、エネルギーを『食料』というかたちでお届けするという、新たな挑戦であると考えました」

社内外の力を合わせてつくりあげた工場

宇都宮「我々にとっては前例のない新しい事業なので、パートナー企業探しや資金調達に始まり、結果として工場竣工まで4年近くかかりました。TEPCOが持つエネルギーマネジメントのノウハウ、芙蓉総合リースが持つファイナンスのノウハウ、そしてファームシップが持つ工場野菜の栽培ノウハウが結集されたのが、この植物工場です」

井田「社内外の仲間の協力・団結なしには、ここまでたどり着くことができませんでした。『日本の食の未来を支えるために、持続可能な食料生産システムの発展が必要なんだ』という思いを熱く語ったことで、思いに共感してくれる人が少しずつ仲間に加わってくれました。担当業務の枠を越えたアドバイスをくれた人もいて、ありがたい限りです。協力してくれたみんなが、プロジェクトメンバーの一員だと思います」

社内外の力を合わせてつくりあげた工場1

社内外の力を合わせてつくりあげた工場2

柳田「私もTEPCOでさまざまな業務を経験してきましたが、さすがに農業の経験はなかったので、プロジェクトは初めての連続でした。最初は水耕栽培における専門用語がわからず、一つひとつ勉強しながらプロジェクトを進めていました」

井田「様々な壁を乗り越えて、竣工した工場に野菜を育てる棚が並んだ時には鳥肌が立ちました」

柳田「涙したメンバーもいましたね。今は、日々まいた種が芽吹き、日を追うごとに育っていくのを見て元気をもらっています」

社内外の力を合わせてつくりあげた工場3

社内外の力を合わせてつくりあげた工場4

データを活用する最先端の植物工場で、サステナブルな社会を実現

柳田「まずは安定した品質の葉物野菜を、お客さまにお届けすることが当面の目標です。より多くの方に使っていただき、安定調達できる安心な工場野菜の良さを知っていただければうれしいです」

井田「工場ではIoTを活用し、水や光、栄養のデータをとりながら栽培しています。今後を見据えると、お客さまからのニーズに応じてそれらを調整しながら、より良い野菜づくりを探っていけると思います。エネルギーの使われ方やノウハウを蓄積データとして活用して、更なる省エネ化を実現するだけでなく、栽培する野菜の高品質化・多品種化にも繋げていきたいですね」

柳田「それができれば、TEPCOの強みを最大限に活かした植物工場になっていくはずですね。また、現時点ですでに80名程度の地元の方々に勤務いただき、日々の各種作業を支えていただいています。地元の方々のご協力・ご理解があるからこそ成り立っている点も特徴の一つです」

宇都宮「折しもコロナ禍によって、食事をコンビニやスーパーマーケット等の店で買って自宅で食べる『中食』の需要が増えているため、安全で安定生産が見込める工場野菜にはますます注目が集まっています。その期待に応えることで、持続可能な社会の実現に貢献していきたいです」

グリーンリーフ

グリーンリーフ

レッドリーフ

レッドリーフ

工場外観

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