巨大な電気をご家庭サイズに変換。
変電所はエネルギーの加工場

2017/04/26

変電所とは電気の電圧を上げたり下げたりして送り出すことのできる施設だ。無駄なく電気が届けられるように高い電圧に変えることもあれば、ご家庭に届けるために電圧を下げることもある。そのようにして、最大で電圧50万V(500,000ボルト)もの巨大な電気は、最適な電圧に変えながら、工場やビル、そしてご家庭などあらゆる電力が必要な場所へと届けられる。そんな変電施設で業務に就く、宮森さんと大島さんに話を聞いた。

電気を効率よく消費者に届けるための変電所

電気をつくる発電所は、電気を消費する消費者の生活圏から遠く離れた場所につくられることが多い。例えば、火力発電所は燃料となるLNG(液化天然ガス)などを海外から船で輸送することなどから、海沿いに建てるのが効率的だ。また、水力発電所は地形の高低差を利用して発電するため、山間地帯など人口密集地から離れた場所に建てられることが多い。
しかし、発電所と消費者の物理的な距離が遠くなると、長い距離を移動する間に、電気は少しずつ失われていき、それだけ損失が発生することになってしまう。変電所はそのような電気のロスを少なくし、安定的に電気を送るためにつくられている施設なのである。

宮森:「主に発電所内にある変電所で昇圧(電圧を上げる)して、それ以外の変電所はこの新豊洲も含めて降圧(電圧を下げる)して、扱いやすい電圧に変更しています。簡単にいえば、皆さんの身近にある変電所は、効率よく各地へ送るための施設なんです。50万V変電所である新豊洲変電所からは27万5千Vと6万6千Vの高電圧の電気が送り出されています。」

新豊洲変電所には、27.5万Vや50万Vという高い電圧に対応した設備が設置されている。大きな電気を扱うだけあって、設備の規模も大きい。右上からは電気を通すケーブルが伸びている。まるで、巨大なコンセントのようだ。

大島:「ご家庭で使っていただく電気の電圧は、100~200Vです。例えば、50万Vで送った電気は別の変電所に送り、そこで電圧を下げて、また、別の変電所で電圧を下げて、と、だんだんご家庭で使いやすい大きさへと変えていきます。ひとつ目の変電所で6万6千Vに変換され、次の変電所で6千Vに変換され、といった具合です。最終的には電柱の上にある変圧器によってご家庭で使うことのできる100~200Vの電気に変換しています。つまり、変電所というのは規模の違いはありますが、身近な場所にあるものなんです。」

変電所は変圧器や遮断器など、多彩な機器で構成される

変電所はさまざまな設備からそのシステムが構築されている。変電所にある代表的な設備として「変圧器」が挙げられるが、これは電気の電圧を上げたり、下げたりするものだ。50万V変電所の変圧器の場合、重量は一台500トンになるものまである。また、このように電圧を変える変圧器のほか、事故や故障などが起きたときに自動的に電気を切ってくれる「遮断器」、落雷のときに雷の電気を地面に逃がして変電所の機器を保護する「避雷器」などの複数の安全装置が備わっている。

機器の管理は基本的には制御室で行っているが、実際にパトロールをして正常に動作しているかの確認もしている。計器やメーターの数値を見ながら念入りにチェック。

宮森:「従来の50万V遮断器は、設置するために100㎡(縦5m×横20m)もの大きさが必要でした。しかし、新豊洲変電所では、技術の革新により、従来形に比べて、サイズが小さく(50㎡:縦5m×横10m)コストも抑えられるものを採用するなどしています。」

電気がお客さまのもとへと届いていることが感じられる仕事

電気事業は発電、送電、変電、配電などさまざまな役割を担う施設が相互に連携しながら運用されている。そのなかで変電所はより効率よく、電気を各地に届けるために常にエネルギーの加工を続ける工場だ。私たちの暮らしから遠く離れたところで、そして思いのほか身近な場所で……。こういった業務が、365日24時間、不休の体制で休みなく実行されている。

地下に機器を搬入(搬出)する開口部(約8m×4m)を下から除いた様子。

関連情報

  • 変電所

    高品質の電気を少ないロスで効率的に送るため、電圧をコントロールしているのが変電所です。
    当社サービス区域内に1,614箇所(2017年3月末時点)あり、電圧の昇降、周波数の調整などを行っています。

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